2014年6月24日火曜日

エフェクターの電源を考える その1

エフェクターの電源を考える その1

かなり古いエフェクターですが「Nadine's Stereo Flanger」です。
これは以前に(たしか80年代)所有していて気に入っていたのですが、故障して捨ててしまったのです。
が、つい最近中古で見つけて即衝動買い、980えん!!

音はやっぱり良い。

電源を考える その1

私は珠々つなぎで一台のアダプターからエフェクターの電源を取っているのですが、この Nadine's Stereo Flanger をデジタル系のリバーブなどと一緒に繋いだら「ふゅん~ふゅん~」と変なノイズがかなり大きく出ました。
デジタル系とアナログ系とを電源的に混在させるとこういったノイズが出るとは聞いていましたが、始めて遭遇しました。

で、ちょっと考えてみたのです。他のフランジャーやフェイザーは混在させてもノイズは出ないのにこの、ネイディーンズのフランジャーだけ・・・
ならばきっとこのフランジャーに主な原因が有る?、しかしこれが発売された当時はたぶんデジタル系のコンパクトエフェクターなんてほとんど無かっただろうし、こいつが悪い訳ではないが・・・・

いずれにせよ、電源関係の問題なのでしょうから、確認です。

開けてみました。
基板上はすごい密度です。回路を細かく取るのはあきらめます。
DCジャックから辿って行くと、まずグランドラインの取り方が怪しい。

スイッチ代わりの入力ジャックに入った後、ぐるっとアルミ筐体を伝わって出力ジャックのグランドへ、そこからMANUALポットの1番~COLOR ポットの1番~最後に基板。



(↑ちょっと見にくいですが、S字になってる黒い配線がポットから基板へ繋いでいるグランド配線)

基板の回路が一番最後なのは、あまり良くない気がしたので、入力ジャックから取り直しました。(ループにはならない事を確認)



(↑これで、基板が電源に近くなりました。)

基板上ですが、デカップリングの電解コンデンサを探すと、空間系で定番のIC、MN3101のすぐ近くに有りました、が、47μF10V・・・ちょっと小さいんじゃない?・・耐圧もギリギリ!!←いや、電圧変動やリップル分を考えるとアウト!!


(↑右から2番目の電解コンデンサ)

基板上スペースの問題なのか?・・・
ですが、ICのすぐ近くに持っていっているのは、配慮したレイアウトだと思います。(バックアップコンデンサ的レイアウト)

しかし、古さと耐圧を考えれば、劣化による容量抜けも有るかもしれませんし、手元に有った220μF16Vに交換してみました。



(↑撮ってる向きが違いますが、右から2番目です。)

グランドラインの取り方とデカップリングコンデンサの容量アップ。
なんとこの2点の変更で「ふゅん~ふゅん~」ノイズは激減しました。
(気のせいか、音も元気になったような・・・ICのバックアップコンデンサとしての効果かな。)

電源はやっぱり大事。今日はここまで。・・・つづく・・・(たぶん)

2014年6月22日日曜日

Beringer HA400 ヘッドホンアンプ ポップノイズの改善

Beringer HA400 ヘッドホンアンプ ポップノイズの改善

以前、ボーカル録りの時に買ったベリンガーの 「HA400 ヘッドホンアンプ」ですが、電源オン・オフやヘッドホンを刺した時に、かなり大きなポップノイズが出ます。
(検索すると他の方のレビューなどにも出てきます。)




基板を眺めていましたら、う~ん・・・出力ジャックに直結しているカップリング電解コンデンサへの突入電流(直流分)がヘッドホンのインピーダンスを介して流れる回路になっているのが原因のようです。
頻繁にやっているとヘッドホン自体にも良くないでしょうし、耳にも不快です。

電源オン・オフ時は、ヘッドホンを抜いておく事で仕方ないようですが、ヘッドホンを刺した時に出るポップノイズだけでも何とかならないかと思った次第で・・・

ちょっと乱暴?な方法かもしれませんが・・・ヘッドホンを刺す前にコンデンサに電圧印加させるようにしてみました。
現状では電源を入れてもヘッドホンが刺さっていなければ、この電解コンデンサへは電圧が全くかかっていません。
上にも書きましたが、ヘッドホンを刺した瞬間にヘッドホンを介して電圧印加され電流が流れる訳です。
なので、ヘッドホンを刺す前に電圧をかけて突入電流を流してしまえば、刺した時のポップノイズは消える訳です。
で、ヘッドホンと並列に抵抗を追加しました。
定数としては、ほとんどのヘッドホンのインピーダンスは、数オーム~数十オームでしょうから、二桁も大きくすれば音質的影響は少ないだろうと考え、手持ちに有った2.2Kを使いました。
これで、電源オンと同時にこの抵抗を介して電圧印加し、突入電流が流れる訳です。


↑ヘッドホンジャックのグランドとLR間にそれぞれ抵抗を追加してます。
1チャンネルだけをしてます。
LRどちらかの端子だけでも良いのですが、音質的影響を配慮してLRそろえています。

ねらい通り、刺した時のポップノイズは無くなりました。

注意点としては、電源オン・オフ時は刺したままだと、追加した抵抗よりヘッドホンのインピーダンスが小さい為突入電流のほとんどがヘッドホンを流れてしまい、ポップノイズが出ます。
改善されるのは電源オンの状態でヘッドホンを刺した時のノイズだけですので、電源オン・オフ時は必ずヘッドホンを抜くようにしてます。

さて、音質的な影響ですが、ヘッドホンと平行に抵抗分が入っている訳ですから、アンプ側から見ればヘッドホン側のインピーダンス特性が抵抗分変わった事になり、多少なり影響があるはずです。
が、私の所のヘッドホン(AKG K240STUDIO & K271)では他の2~4チャンネルとの比較で明らかな変化は感じられませんでした。(チャンネルごとのばらつきの範囲)
使うヘッドホンによっては影響があるかと思いますが、元々高級オーディオでも有りませんので・・・

この状態で1年ほど使ってますが支障は出てませんが、あくまでも我流でやってますので責任はもてません。

でも、中途半端な改造だな~



2014年6月17日火曜日

BOSS BE-5 復活~HiFi~Bassに使えるMOD

BOSS BE-5 復活~HiFi~Bassに使えるMOD

BOSS BE-5を中古で手に入れました。
単体エフェクターを5つ直列につないで一体化したようなマルチです。
製品マニュアル→ http://lib.roland.co.jp/support/jp/manuals/res/1809510/BE-5_j_02345867.pdf

http://www.bossarea.com/serial/sndecoder.aspx
 ↑ によると手に入れた物は、1989年製らしいので25年も前の製品になります。

音だしした第一印象は、「ラジカセみたいな音」でした。
バイパス音もひどいもので、途中にチューナーアウト、センド、リターン、のジャックもあるのですが、後ろになるほど順々に音やせしていきます。

その1「復活」

中を開けたら、大きな基板が1つ。
回路的には、
コンプレッサー CS-3
ディストーション  OS-2
ノイズゲート  NS-2
ディレイ    DD-2
コーラス    CE-2
それぞれに近いようです。

まず気になったのが、電解コンデンサ。沢山使ってます。
全て小型タイプ、スペース的に余裕がない訳でもないようですが・・・

25年前の製品ですから、電解コンデンサが劣化している事は容易に想像がつくので、
http://diy-fever.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/01/roland_boss_be-5.pdf
↑から回路図などサービスノートをダウンロードして、バイパス音が通る電解コンデンサ(カップリングコンデンサ)を交換してみました。
部品番号などはこの回路図に添って書いていきます。

(C020,018,126,127,125,052,045,044,143,106,055,060,061)

手持ちにあったものをかき集めたので、ごく普通のグレードです。
結果は「ミニコンポくらいの音」になり、やはり電解コンデンサの劣化が大きく影響している事が確信できました。
ので、まずエフェクト回路の中のカップリング、次に電源周り、と換えて行くにつれ徐々に音質が改善されていきました。

特にオーバードライブ・ディストーションの回路中、オペアンプ負帰還にある4カ所ですが、
これも劣化していたようで交換すると歪みの質が大きく変わりました。
(本来の音に戻った。C032,035,036,037)

結局、ついでなので全ての電解コンデンサを交換してしまったのですが・・(ちょっとやりすぎかも)



他に故障もないので、とりあえず、BE-5はこれでたぶん復活しました。


次に
私が元々ベース弾きだったので、ベースにも使えるくらいにしたいと思って改造してみました。
なお、あくまで私の主観でやってみましたので、必ず「良い結果」とは限らない事をご理解ください。

BE-5はこれで復活したと言っても、
・昔の機材故か、音のレンジが狭い。(周波数的に)
・やはり、バイパス音が順々にやせてゆく。
・全体的に「すっきり」しない音で明瞭感がない。
・特にオーバードライブ・ディストーションは低域が削れすぎてとてもベースでは使えない。
などなど・・・・


その2「HiFi化」

「レンジが狭くてすっきりしない音」に取り組んでみました。

まず、低域のレンジを広げる。(ベースで使えるように)
これは、カップリングコンデンサの定数を見直しました。
カップリングコンデンサはCRローカットフィルタ(低い周波数を通さない)として働いてしまう事を考慮して、定数を上げる方向です。

バイパス回路
C002 0.047 → 0.82積層フイルム(手元のあったのがこれなので、0.47~1uフイルムでよいと思う)
C021 0.047 → 1u無極性電解コンデンサ

コンプ回路
C015 0.047 → 0.1フィルム

コーラス回路
C106 0.1 → 10u無極性電解コンデンサ
C134 0.033 → 0.1フィルム 

次に中高域の改善。
ここまできて中高域がつまったような伸びが無い事がはっきりしてきた。

どこかでハイカットになっていないかと回路図を眺めていると、2カ所でハイブーストして後でその分ハイカットしている。
わざわざイコライザを4回も使って元に戻してる感じになっていた。(バイパス音もここを通っている。)
ノイズゲートの前でブースト、後ろでカット、ディレイの前でブースト、最終の出力バッファでカットの4カ所です。
おそらく、昔のカセットテープのドルビーNRと同じ原理で高域のノイズを低減する目的では無かろうか(推測)とは思うが・・・
とにかくこういう事をすれば、音質的に劣化が重なるのは間違いないので、ブーストとカットをセットで無くしてみました。

ノイズゲート回路
C054とC047を取り去る(ペアになってるR080とR070でもよい)

ディレイの初段
C142を取り去る(R187でもよい)

出力バッファ
C057とC062を取り去る(ペアになってるR087とR093でもよい)

やはり中高域がつまったような感じは改善されました。
で、上に書いた「高域ノイズを低減」ですが、ゲート部もディレイ部もあまり増えた感じはしませんが、
コーラスのみ少し気になるレベルなので、コーラスのエフェクト出力にハイカットの意味でコンデンサを追加しました。

R096とQ015の間とグランド間に0.0047フイルムコンデンサを追加。



コーラスは、出力バッファで原音とミックスするので、中高域のつまり感にはさほど影響しませんでした。
ただしエフェクトのニュアンスには影響しますのでご注意ください。(値を小さくすれば影響は少ない)

が、まだまだ、バイパス音が順々にやせていくのは確かにあるので、もう一押し・・・

この改造こそやりすぎてる感がありますが・・・・
BE-5の場合5つのエフェクターを一枚の基盤に乗せた物ですので、基盤自体が大きい訳です。
基盤の裏を眺めているとやたら細いパターンで延々と引き回している箇所が沢山あります。
基盤の銅箔は薄い上に1ミリにも満たない幅で音声ラインを引き回すのは決して良い事ではありません。
ので、主な音が通る所をたどって、5経路の細すぎる音声ラインをピックアップし、その引き回しを0.65mmの導線でバイパスしてみました。


Q004からQ010
IC3の7ピンからR047
Q011からC143
IC18の7ピンからR149
IC16の7ピンからC055

この段階まで来るとこれは、かなりの効果があり、音やせもすっきりしました。


その3「Bassにも使える」

ベースを繋いでみると、とにかく歪みエフェクトが使えない。
低域も高域のカットされているので量感、力感が無い。

まず低域ですが、他と同じでカップリングコンデンサ変更です。
(ここでの変更は歪みの質に直接影響しますので、注意して下さい)

C026 0.022 → 0.047フィルム
C025 0.0047 → 0.22フイルム

高域ですが、私は太いオーバードライブが好みなのですが、
オーバードライブ回路のハイカットが、中域まで大胆にカットして量感が無くなっているようです。
中域はディストーション回路で補う設計のようですが、そちらは高域に偏っていて中低域は貧弱に思うので
オーバードライブ回路のハイカットを大幅に変更しました。

C041 0.018 → 0.0047

中域が補強されて結構太くなりました。

ついでに

コーラスを入れると音量が上がってしまう状態になってしまった(C134の変更の副作用?)のでIC14にぶら下がっているR135を30kくらいにしました。
(実際にはR135と平行に100kを基板の裏に追加してます)
IC14の出力段はオペアンプなので、負帰還の抵抗値調整で増幅率を少し下げています。

一応完了

色々試せると思っていますが、チューナーアウトから原音を取り出し、センドとミックスしてリターンに戻すと、
よくある原音ブレンドタイプのベースオーバードライブ的になる、とか・・・
センド、リターンが有るのも色々な使い方を考えられて良いかと思います。

あと、ツマミが小さくて回しにくい!!

追加投稿・その後のBOSS BE-5(追加MOD)はこちら