2018年5月23日水曜日

BOSS MD-2 についてIC変更の話し

BOSS MD-2 について IC変更

先日、結構好きです、と書いたMD-2ですが、もう一台手に入れました。

音出しして・・・またまた・・・あれ〜?
前から持っていた物より明らかに音が・・・・しょぼい。
芯が無い、勢いがない、パワーがない。
しかもGAINとDISTをフルまで回すと、発振しちゃいます。

一応調べたら、2008年製。
前から持っていた物は、2003年製。
・・・・5年新しい。

開けてみたら・・これもIC変更されてました。
M5218AL から(2003年製)


 NJM4558LD に(2008年製)

たぶん元々の設計は、M5218AL。

確かに2つとも同系統のオペアンプで仕様上もたいてい置き換え可能です。(細かい性能は違う)
が、・・・・・

ところで、MD-2はディストーションではありますが、歪みを作っているのがダイオードクリップではない。
回路図↓

2段階で歪みを作ってます。
1段目、IC2の増幅率を上げることでオペアンプ自体をオーバードライブさせて歪ませてます。
(歪むとこまで増幅させるなんてオーディオ的には大失敗な回路)
2段目は,Q6とQ17のトランジスタ。
普通にトランジスタ増幅回路ですが・・・・
ここで注目は動作電圧、IC2は9Vで動作してます。
IC2は電源電圧いっぱいの振れ幅まで信号を増幅しきってます。
一方Q6とQ17の動作電源は5.4V。なのでQ6とQ17は、9V近い振れ幅の信号を入力されてもそこまで電圧が振れないのでで5V弱でクリップしてしまいます。(電圧差を利用したトランジスタクリップ)
(この説明は細かい回路定数設定を無視した原理的なものですので・・・)

で、IC2が変更になると・・・1段目歪みに音色的な変化が出るのは当然考えられます。
また、その変化が2段目に影響するでしょうし・・・
・・・・・当然音変わりますよね。・・・
例えばRATのICはLM308Nの方が良いというのと同じです。

で、2008年製の物のIC2をM5218Lに変えてみました。
これは、BOSSのジャンク品のグライコ(1988年製)から外したものです。

すると・・・・・
やっぱり大変身!!!
前から持っていた物と大差ないどころか、低域はこちらの方が若干豊かに・・・(個体差と言える範囲ですが)
発振もしなくなりました。

皆さんMD-2は古めの中古品を狙いましょう。・・・たぶん。

ご参考に・・・では、また。

2018年5月13日日曜日

BOSS 二連ツマミ ちょっと小ネタ MD-2

BOSS 二連ツマミ ちょっと小ネタ MD-2



BOSSのMD-2、実は結構好きです。
低域〜高域までワイドだし、ハイゲインだし、クランチ〜激歪みまで・・・守備範囲広い。
改造ネタにしないのも、たいして不満がないからです。
バイパスの音痩せもましな方です、強いて言えばバイパスラインのコンデンサを変えるくらいですかね〜。

1つ有りました!!。
二連ツマミ・・・・回しにくいです。MD-2に限った事では無いのですが・・・

で・・・・小ネタ。

二連ツマミの下のパーツ↓

これを上下逆さまにはめると・・・随分回しやすくなります。


ご参考に・・・では、また。

2018年5月11日金曜日

BOSS DS-2 の話しダイオードその2 MOD

BOSS DS-2 の話しダイオードその2

前回のDS-2の話しの後少し調べたら、2009年製の物に付いてたダイオードもショットキーバリアダイオードでした。
品番は、SD103(E) データシートはSD103で調べれば出てきます。

ところで、一般的にゲルマニュウムダイオードは無線機の検波用として使われています。
よく耳にするのはゲルマニウムラジオ。
電池いらずのイヤホンラジオです。工作キットなんかがよくあります。
受信した弱い電波を増幅無しで検波するためにはダイオードのVf順方向電圧が低くなければ出来ないのでシリコンダイオードでは難しいのです。(理想は順方向電圧が0V)
ゲルマニュウムダイオードは実用的には0.3~0.4V程度だったと思います。(シリコンは0.7V程度)
(たいていのデータシートはMAXしか書いてないのでこの数字は出てきません)
ショットキーバリアダイオードは0.2~0.3V程度だったはずで、ですから検波用としては、ゲルマニュウムダイオードの代用を果たしてくれます。

しかし、エフェクターのクリッピング用途としては、代用にはならないと思いました。
検波とクリッピングではダイオードが果たす役割が正反対です。
検波では、順方向電圧より大きい分を通して信号を取り出す。
クリッピングでは順方向電圧より大きい分をカットして信号波形を変形させる。

まず、順方向電圧が違えば音声波形の振れ幅(音量レベル)が違ってしまいます。(カットする分量が違う)
ゲルマニュウムダイオードで0.4V×2で0.8V有った振れ幅が、ショットキーバリアダイオードでは0.3×2で0.6Vになり、レベルが下がってしまいます。
またショットキーバリアダイオードは反応速度は早いので、波形の切れ方も鋭いはずです。(オシロを持ってませんので推測ですが)
波形が変われば直接音質に影響します。

検波用として広く代用品と認められているからといって、エフェクターのクリッピング用途で代用品として使うのは全く違うと思います。
あくまでも別物として扱うべきですね。

ということで、先回登場したショットキーバリアダイオードが付いてるDS-2をゲルマニュウムダイオードにMODしてみました。
同じダイオードは手に入りそうにないので、エフェクター用ではスタンダードな1N34Aにしました。
まず、1994年製


音だし比較すると、1990年製のオリジナルと殆ど変わらない感じになりました。(若干の個体差程度は有りますが)

そして、2009年製

あれ?、雰囲気は似ているのですが・・・同じツマミ位置ではゲインが小さい・・・が、全部フルにするとたいして差は無くなります。???
色々探ってみると・・・・DISTポットのカーブが違うだけでした。(な〜んだ、びっくりさせやがって。)
250KDカーブなのが、2009年製の分だけAカーブに変更されてます。
BOSSさんここでも入手しやすいAカーブに黙って変更ですか。
ゲルマニュウムダイオードもそうですが、ちょっとあきれた「コストダウン」ですね。

まあ、とにかくDS-2は、ショットキーバリアダイオードをゲルマニュウムダイオードに戻せば、しっかりした良い音に変身します。

ご参考に・・・では、また。

2018年5月5日土曜日

MXR distortion II を作ってみた。

MXR distortion II を作ってみた。


MXR distortion ii 一部熱狂的なファンが居られるようで少し前から気になってはいたのです。
廃番で後継機種も出てないようです。
レビューを見てみるとなんだか独特な物のようでますます気になって・・・
まず、回路図は、ちゃんとしたMXRの物らしいのが見つかりました。

レイアウトを探してみると、2点見つけたのですが・・・ちょっと使う気になれません、と言うのは・・・・まずVsバイアス電位のボルテージフォロアを省略しているのでこれではバイアス電位が安定しないように思いますし、アウトプットバッファも省略してます。
また、ICですがMXRは4558を1個072を3個で設計してますが、074と072でレイアウトしてました。
MXRは1つだけ4558をセレクトしているのです。これを無視するのは嫌ですね。

このdistortion II は15Vで駆動させていてこの辺りもちゃんと作ってみようと思います。
ただ実機はトランスを内蔵して117V電源での使用が前提のようですので、そこは無理せず、18V電源仕様にしました。
9V電池2個又はDC18Vアダプターでの使用です。

また、今回はスルーバイパスではなく、15Vのバッファを通したバイパスにしてみました。
配線を少し変えるだけでスルーバイパスにも出来ます。

まず、回路図の変更点(朱書き)

レイアウトはいつものストリップボード用に書き始めたら凄く大きくなってしまいそうだったので諦めました。
で、実機のレイアウトを参考にして、ユニバーサル基板用に書きました。

部品図

真ん中辺りに()を付けてる1μ電コンは回路図にはありません、これはICへの電源経路がちょっと長いので電源安定の為のバックアップコンデンサです。無くても大丈夫ですが、私のこだわりです。

めんどくさがりやの私は今回、基板配線に0.35mmのポリウレタン銅線を使ってみました。
これはポリウレタンの被服で絶縁してあるもので、コイルに使ったりする事が多い物です。
絶縁してるので画像のように基板を縫うように這わせても大丈夫で、しかもハンダ付けすると熱で被服が溶けてくれるのでちゃんとつながるのです。
少しだけ余分に熱を加える必要はありますが・・・

部品が付いたところ基板完成


組み込み

4558ICは、実機ではRC4558ですが、手元に無いので今回はビンテージ物を使ってみました。
NEC日本製 C4558C、BOSS OD-1やSD-1の初期でJRC艶有りよりも定評のあるICです。



出来た。・・間違えないように・・・DC18V・・・

感想・・・・皆さんのレビューが理解出来ます。
回路も特徴的ですが、RESONANCE の変化が不思議で心地よい。
確かに、他には無い味があります。
これが今の製品ラインナップに無いのは残念だと思います。
皆さん作りましょう!!!

ご参考に・・・では、また。

2018年5月4日金曜日

BOSS DS-2の話し(ダイオード)

BOSS DS-2の話し(ダイオード)

DS-2って正直そんなに評価されてるのが不思議に思っていました。
カートコバーンが使っていたから・・とか。

フリマやオークションで、日本製のDS-2がやたら高価で取引されていて・・・なぜ?と思っていたのです。
そんなに違うのかな〜DS-1は、IC変更されてて回路的にも違うのですが、DS-2はそんな変更はないみたいだし・・・と思っていたら・・・・ところがどっこい・・肝心な所が(勝手に?)変更されていました。

みんな知ってたんですね・・・気が付かなかった!

DS-2は前にかなり大幅な改造MODをしましたが・・その時に見落としてました。

先日、台湾製なのですが、程度の良いDS-2を手に入れまして、音だししてみると・・・
あれ〜DS-2ってこんなに良かったっけ??・・・
ゲインも稼げるし、芯がしっかりしてて存在感があり前に出る音になってる。

開けてみると、ゲルマニュウムダイオードが付いてました。
・・・・えっ、ゲルマなんて付いてたっけ???・・・・


回路図を確認すると、D14と15が1SS-188FMとなってます。

データシートが見つけられなかったのですが、やっぱりゲルマニュウムダイオードのようです。
前回MODした時の基盤にはちょっと他と違うダイオードが付いていたので、おかしいとは思わなかったのです。(もちろんゲルマニュウムダイオードではない)

今回手に入れたDS-2は、1990年製。ちょうど日本製から台湾製への移行期、台湾製の初期だと思います。
電解コンデンサも、jamiconと松下製が混在してます。(まさしく移行期)

他に持っているもので、1994年製のものはこのダイオードが違う物になっていて、推測ですが、ゲルマから置き換えるとすればショットキーバリアダイオードではないかと思います。

前にMODした1997年製これも変わってます、ショットキーバリアダイオード?

そして、2009年製の物、定かではありませんが、見た目いかにもシリコンダイオードじゃないのか???と思える物が付いてました。


そりゃ音が変わりますわ。
ゲルマニュウムダイオードの個体が音が良いので高値取引されているって事ですね。

元々ゲルマニュウムダイオードで回路設計して評価を得た物をダイオードなら何でもいいみたいにコロコロ変更して、同じDS-2として販売し続けるのは・・・・・

型番を変えるとか、別物だとユーザーにハッキリ判るようにして欲しいものです。

ご参考に・・・では、また。